商品撮影の本当のコスト
撮影スタジオの1枚あたりの料金は誰もが知っています。しかし、作業時間、遅延、掲載できずに逃した売上まで含めた総コストを把握しているチームはわずかです。実際の計算方法を紹介します。
EC担当者に商品撮影のコストを尋ねると、たいてい1枚あたりの金額が返ってきます。基本的な写真なら€2程度、スタイリングしたライフスタイル写真なら€15程度。あるいは「社内で撮っているから無料です」。
最後の答えが正しいことは、決してありません。
目に見えるコスト
多くの人が把握している数字は明快です。
- スタジオやフォトグラファーの料金:1枚単位、時間単位、または日単位。
- 機材:カメラボディ、レンズ、照明機材、三脚、ターンテーブル、背景。
- ソフトウェアのライセンス:Lightroom、Photoshop、撮影ソフト、DAMシステム。
- ホスティングとストレージ:クラウドストレージ、CDN配信、バックアップ。
500〜2,000点の商品を扱う典型的なチェコのECサイトでは、これらの合計は年間50,000〜300,000CZK(チェココルナ)ほどになります。予算表に載っているのは、この数字です。
目に見えないコスト
ほとんど誰も把握していないのが、次のコストです。
撮影から掲載までの時間。商品を撮影してから、ECサイトで公開されるまでに何日かかっているでしょうか。多くのチームでは3〜7日、数週間かかるチームもあります。写真のないまま商品が待たされる1日は、そのSKUの売上がゼロの1日です。
調整にかかる負担。撮影の日程を組み、商品をスタジオへ運び、要件を伝え、仕上がりをレビューし、再撮影を依頼し、ファイル名を変更し、CMSにアップロードする。誰かがこれをこなさなければなりません。この人件費は、撮影そのものの費用を上回ることも少なくありません。
やり直し。フォトグラファーから200枚の画像が届きます。そのうち30枚は背景が違い、15枚はほかと違うトリミングで、8枚は誤ったSKUに紐づけられています。これを直すのは「タダ」ではありません。チームがほかの仕事から引き離されます。
掲載の遅れによる機会損失。新商品が1日500CZKの売上を生むはずなのに、撮影工程のせいで掲載が5日遅れれば、2,500CZKの損失です。これに、毎月掲載が遅れる商品の数を掛けてください。
拡大を阻む摩擦。新しいSKUを1,000点追加したいとしましょう。従来のワークフローでは、スタジオの利用時間、編集作業の時間、調整の手間がそれに比例して増えます。成長がそのままコスト増につながるのです。
チームは実際に何に時間を使っているのか
私たちは、チェコとスロバキアのEC事業者の何十ものチームに話を聞いてきました。そこには共通するパターンがあります。
| 作業 | 1商品あたりの時間 |
|---|---|
| 商品の準備(開封、清掃、配置) | 2〜5分 |
| 撮影(複数アングル) | 3〜8分 |
| 後処理(背景、トリミング、色) | 5〜15分 |
| ファイル管理(名前の変更、整理、アップロード) | 2〜5分 |
| レビューと承認 | 3〜10分 |
| 合計 | 15〜43分 |
1商品あたり平均30分、諸経費込みの人件費を時給400CZKとすると、各商品には時間だけで約200CZKかかります。機材やソフトウェアの費用を加える前の段階で、です。
1,000点のカタログなら、人件費だけで200,000CZKです。季節ごとの撮り直しや新商品の入荷があれば、その分だけ掛け算になります。
ワークフローを凝縮すると何が変わるのか
目的は、すべてのコストをなくすことではありません。商品撮影には、これからも人の判断と実物の商品が欠かせません。目的は工程を凝縮することです。
撮影、処理、エクスポートが1台のデバイス上のひとつの流れで完結すると、次のように変わります。
- 標準的なカタログ写真なら、1商品あたりの時間が1〜3分に短縮されます。
- 撮影、編集、アップロードの間に引き継ぎがないため、調整の手間がなくなります。
- 統一感が仕組みに組み込まれ、手作業で守らせる必要がなくなります。やり直しのループそのものがなくなります。
- 拡大に必要なリソースは商品数に比例するだけになり、人員や機材に比例して増えることはありません。
メインビジュアルやライフスタイル写真のためのプロの撮影に取って代わるものではありません。担うのは大部分、つまり芸術的な独自性ではなく、正確さ、統一感、スピードが求められるカタログ画像の80%です。
自社の数字で計算してみる
先月を振り返ってください。撮影した商品の数を数えます。関わった総時間を見積もります。撮影だけでなく、「商品が届いた」ときから「写真がサイトで公開された」ときまでの全工程です。
総時間を商品数で割り、諸経費込みの時間単価を掛けます。
それが、商品画像1点あたりの本当のコストです。ほとんどのチームでは、想定の3〜5倍になります。